2006W杯ゲームレポート
2006年07月11日
ジダン退場、ラストダンス失望の結末。イタリア対フランス【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.11】

誰がこんな展開を予想していただろうか。
こんな終わり方に納得なんかできるだろうか。
自らを奮い立たせ、さらには数多くの人々に勇気を与え、これまで見事なパフォーマンスでフランスを牽引してきた一人の偉大なフットボーラーのラストゲームはワールドカップのファイナルというこれ以上にない最高の舞台となり、勝つにせよ負けるにせよそれは輝かしく素晴らしいものになるはずだった。
試合序盤、強心臓ぶりを発揮するチップキックでテクニカルなPKを決めレ・ブルーが先制するも、ピルロの精度の高いCKからすぐさまアズーリに追いつかれ予想通りの一進一退のカタい展開となった。その激闘も延長にもつれこんだ終盤、あろう事かプレーに関係ないシーンに相手DFマテラッツィに頭突きを食らわせ一発退場。
多くの人々が結果よりも華麗なラストダンスを堪能したいと思っていた。
多くの人々がフットボーラーとしての最後の勇姿を目に焼き付けたいと思っていた。
ジネディーヌ・ジダン34歳。あらゆる経験を積んだ成熟したフットボーラーの現役最後の最も大事なゲームであり自身のフットボール人生の集大成のエピローグとしては全く納得できない結末である。その行動は世界中を失望させた。しかし極めて軽率な愚行だったと済ませれる事だったのだろうか。
何が彼をそうさせたのだろう。
自身のフットボール人生の最終章を黒のマジックで塗りつぶしてまで守らねばならない何かがそこにあったのだろうか。
その理由を知る由はまだない。
彼がピッチを去った瞬間、今日で宴が終わってしまうという淋しさをさらに助長するように勝敗が決しないまま私のワールドカップはすでに終わっていた。
今回のワールドカップでの戦術重視のマニュアル的な試合レビューよりもまずこの事を最初に綴らずにはいられなかった。
ーーーーーーーー見事な両軍の「結束力」

■イタリア→【4-2-3-1・2ボランチ】
守備型カウンター・リアクションスタイル
□フランス→【4-2-3-1・2ボランチ】
守備型カウンター・リアクションスタイル
最後までもつれた両軍の戦い、どちらが勝ってもおかしくなかった。PK戦の末優勝したイタリアとわずかな差に泣いたフランス。
まさにキーワードになったのは
「結束力」
それは堅い守備に直結するし、試合終盤でも途切れない集中力の持続にも直結する。何より経験豊富な大人のチームであったと言うことであろう。特にスキャンダル、八百長問題で揺れる中見事に優勝を果たしたイタリアの集中力を生んだ要因となった「結束力」は、ほんのわずかな勝利への幸運をたぐり寄せた。様々な局面でも冷静に対応できる策を持っていたリッピ監督の存在も大きかった。(交代選手が活躍するという事はモチベーションコントロールもしっかり出来ていたという事)
ーーーーーーーー驚きの少ないカタい大会
「まずリスクを避けて失点をしない事、そして個を以て得点する」
「先制したら、しっかり守ってバランスを崩した相手に対してカウンター」
優勝したイタリア、準優勝のフランス、ドイツに三位決定戦で敗れはしたものの「情熱」を良い意味にも悪い意味にも見せてくれたポルトガル。このベスト4に残ったチームのうち3チームの戦い方のコンセプトは本当によく似ていた。
「試合巧者」と言えるが「スペクタクルに欠ける」とも言える。
「安定している」と言えるが「面白くない」とも言える。
そしてドイツを含めた4チームのそれぞれに、ドイツ・ブンデスリーガ(クローゼ)、イングランド・プレミアリーグ(アンリ)、フランス・リーグアン(パウレタ)、イタリア・セリエA(トーニ)の得点王がいた。
つまり各国リーグトップゴールスコアラーを擁するチームの戦い方がほとんど先述の戦い方だったという事が、まさに驚きの少ないカタい大会になったのを物語っている。
(大本命ブラジルとアルゼンチンがその扉をさらに秀でた個人技とパスワークを以てこじ開けてほしかった)
ーーーーーーーーニューヤングスターは誕生しなかったが・・・・・
シュバインシュタイガー、ラーム、クリスチアーノ・ロナウド、メッシ、テベス、ロビーニョ。そしてヤングヒーロー賞を受賞したポドルスキを含めてすでに売れたヤングプレーヤーは確かに活躍したのだが、「えっー、誰やねん。こんな奴おったんかぃ。」と衝撃的なインパクトを残した選手はいなかったように思う。
そのいない中でも挙げるとすればフランスのリベリだろう。細かい切れ味鋭いドリブル、ベテランのオーバー30軍団の中で異彩を放つ際立つ運動量。フランスの決勝進出に大きく貢献した。先述の既に売れたヤングプレーヤーの仲間入りを果たしたのは間違いない。
ーーーーーーーー総括
前評判通りのカタいチームがカタい守備を生かした戦術でカタく優勝したカタい大会だった。
ハラハラするようなシーソーゲームもなく、サプライズもニューヒーローも誕生しなかった。
日本が予選敗退して、大本命ブラジルと最もアツかったアルゼンチンも負けて、最も輝いたジダンのラストダンスまでが信じられない結末だった。
(ラストダンスにこけてもジズーは大会MVPに選ばれた。それを差し引いても受賞に値するパフォーマンスであったのは間違いない。だからこそ最後が悔やまれるのだが。)
などと言えど
独特の雰囲気、戦術、個人技など様々な角度からフットボールのバイブレーションを改めて感じて本当にこの31日間をハード&タイトに堪能できた。やはりワールドカップは面白い。
そんな4年に1度の夢のような時間が、淋しさと共に過ぎ去ってしまった。オシムジャパンの正式発表と梅雨明けが終われば日本にもいつもの夏がやってくる。
もっともっとフットボールの本質に迫りたい。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年07月06日
ポルトガル対フランス【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.10】

セミファイナル第2戦は4回目の出場にして初の決勝進出を狙う「情熱」のポルトガルと特別なクラッキ、ジダンの花道を飾ろうと大本命ブラジルを撃破した「結束力」のフランスの対戦、この戦いも気持ちのこもった素晴らしい激闘となった。
■ポルトガル→【4-2-3-1・2ボランチ】
守備型カウンター・リアクションスタイル
□フランス→【4-2-3-1・2ボランチ】
守備型カウンター・リアクションスタイル
お互いフォーメーションは【4-2-3-1】。ドイスボランチに守備能力の高い選手を置き、しっかりした中盤の守備からボールを奪うとトップ下の選手がリズムを作り、両サイドのドリブルから1トップを生かすというまずディフェンスからというカタい戦い方でここまで勝ち上がってきた。
4バックと2ボランチの6枚が本当に強固な両軍のゲーム展開は1点勝負になるとの予想通り、前半にポルトガルディフェンス陣が綻んだ一瞬に、アンリがリカルド・カルバーリョの逆を取り倒されてPKを得ると、それをきっちりジダンが決めて先制。その後ポルトガルの反撃に落ち着いて対応したフランスが1-0でファイナル進出を決めた。
ーーーーーーーー恐るべしオーバー30軍団、まさに老獪
GKバルテズ35歳、DFテュラム34歳、MFビエイラ30歳、マケレレ33歳、そしてジダン34歳。(アンリ、サニョル、ギャラスも29歳)先発メンバー平均年齢約30歳(29,9歳)のレ・ブルー。ここへ来るまでの「結束力」は素晴らしい。ポルトガルのマリーシア(相手を苛立たせるずる賢いプレーなど)にも冷静に対応して、逆にそのポルトガルを追い込み、王者カナリア軍団・ブラジルを葬り去ったのと同様にきっちり1-0で勝つあたりはまさに「老獪」。大人のチームと呼ぶに相応しい戦いぶりであった。
ーーーーーーーー逆転策のための駒不足
ポルトガルは是が非でも先制したかった。
後半追いつかなければならないフェリポンは今大会不調のパウレタに代えてウイングタイプのシモン、それまで献身的に動いていた守備的ボランチ、コスチーニャに代えて得点能力の高いエウデル・ポスチガを投入。リスクを冒してフィーゴとシモンをウイング、クリスチアーノとエウデル・ポスチガの2トップへ配置、ほぼ【4-2-4】へシフトチェンジ。
【4-2-3-1・2ボランチ】→【4-4-2・ボックス】(4-2-4といっても過言ではなかった)
しかしながら完全にサイドでの1対1勝負になってしまい、フランスにとっては想定内の戦術の変化にその守備陣を打ち破るには至らなかった。好調のクリスチアーノのドリブルを生かせなかったのと攻撃的サイドバックのミゲウが負傷退場したのが痛かったが、パワープレーで追いつく為の駒が足りなかったと言えばそこまでだろう。(フィーゴと最も長身のフェルナンド・メイラにそれぞれチャンスが訪れたのだが)
もしポルトガルが先制したとすれば全く同じ展開、同じスコアで勝っていたかもしれない。(フランスにはトレゼゲがいるため逆転の可能性はあったかもしれないが)
それほどに「先制点の重み」と「逆転の難しさ」がこの守備が本当に堅いよく似た両軍の特徴を物語っていた。
ーーーーーーーー素晴らしいジズーのラストダンス
本当に引退してしまう選手のパフォーマンスなのか。(決意したからこそ充実したのかもしれないが)ミスはしているがとりあえず慌てる事がほとんどない。そのプレースタイルは40歳になっても変わらないだろう。もともと身体能力に恵まれているのだが【185センチ・78キロ】
膝の曲がり具合
周りを見る姿勢
特に
逆を取って味方がプレーしやすいように出すパス
はプロ選手を目指す少年達の上質の教材の一つだ。
そしてファーストタッチに注目していただきたい。必ず敵が取れない場所、もしくは分からない場所に置いている。
ーーーーーーーー総括
フランスの「結束力」は戦うごとに強固になってポルトガルの「情熱」をも上回った。最もスペクタクルなチームだったアルゼンチンと大本命王者ブラジルが敗れ、これまた「結束力」のイタリアと共に、能力の高い選手を揃えてまずは守備ありきというスタイルが残った事には正直、失望と落胆の寂しい気持ちも多いのだが、逆境を跳ね返す「スピリット」というフットボールのみならず生きるうえでの基本中の基本が重要なのだと教えられた気がする。
「1シーズンは無理だが、あと7試合は戦える」
大会前のこの言葉を現実のものにしたジズー。彼の本当のラストダンスを目に焼き付けたい。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年07月05日
ドイツ対イタリア【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.09】

早いものでワールドカップも60試合が終了し、いよいよ準決勝2試合と3位決定戦、決勝の残り4試合を残すのみとなった。セミファイナル第1試合、開催国ドイツの相手は、過去のワールドカップでの対戦で勝った事がなく直前のテストマッチでは1-4と完敗を喫している伝統のカテナチオに攻撃力が加わり今大会も1失点で勝ち上がってきたイタリア。
■ドイツ→【4-4-2・2ボランチ】
バランス型ポセッション・アクションスタイル
□イタリア→【4-5-1・2ボランチ】
バランス型ポセッション・アクションスタイル
中盤の底のキーマン、フリングスが出場停止のドイツはケールを起用し、疲労の見えるシュバインシュタイガーに代えてボロウスキを先発させる。対するイタリアはウクライナ戦と同じくトーニの1トップの布陣。守備が安定している両チームの戦いは、前半からボールをお互い大事にして、サイドの裏を思い切って狙い、最後の所は割らせないという攻守に非常に締まった好ゲームとなった。
そしてその激闘の最終章に相応しく、PK戦突入と思われた延長後半14分にドラマは待っていた。
混戦の中からDFを引きつけたピルロのショートパスからグロッソが見事な左足のコントロールシュートを突き刺し、それまで好セーブを連発していたレーマンの牙城を遂に破った。その直後リスクを冒して攻めたドイツのボールを奪い、カウンターからジラルディーノの味のあるアシストを延長に投入されたデルピエロが冷静に決め2-0。開催国ドイツとの死闘を制し12年ぶりのファイナルへ駒を進めた。
ーーーーーーーーピルロのゲームメイキング
イタリアは何と言っても彼である。彼も(ジダン、リケルメ、シーニャ、ロナウジーニョと同じカテゴリー)プレッシャーをモノともしない落ち着きで、中盤の底から長短のパスを使い分けゲームをコントロール、精度の高いミドルシュートにプレースキックと幅広くイタリア攻撃陣を牽引。彼がいなければイタリアは攻撃的に生まれ変われなかっただろう。何が凄いかというと、とにかくミスが少ない。忘れてならないのは彼の守備的負担を軽くするガットゥーゾの献身的守備があってのピルロと言うことだ。(その姿はコロンビアの全盛時のピーベ・バルデラーマとレオネル・アルバレスの関係のようである)ドイツのバラックも悪くはなかったが、要所に裏に通すボールが徐々にジャブの如く効き、イタリアにリズムとペースをもたらし最後の最後で競り勝った要因になった。(トッティの逆サイドへのダイレクトパスも見応えあった。)
ーーーーーーーーポドルスキのポストプレー
今大会ドイツの中で私が最も気に入ったのはポドルスキ。ドリブルで仕掛けることもできるし、優れたシュート感覚を持っている。トラップしてからシュートまでメチャクチャ速い。さらにポストプレーからの落とすボールの丁寧さは間違いなく今大会ナンバーワン。DFを背負いながらでもいいボールをチョイと落としてくれるトップの選手はチームがゲームを優勢に進める上での最重要ポイントと言っても過言ではない。クリンスマンが絶賛するのもうなずける。4年後の彼が楽しみである。
ーーーーーーーーサイドの攻防が明暗を分けた
当たり前の事なのだが、相手の裏にボールを運ばなければシュートを打てない。(ミドル&ロングシュートは別として)これまた当たり前の事なのだが、相手の裏にボールを運ぶには「出す」選手と「受ける」選手の2人が必要である。
サイドでの攻防がこの試合の主導権争いに直接的に強く影響し、この「出す」と「受ける」という単純な要素が鍵を握った。
イタリアはピルロ、ドイツはバラックからサイドに数多くボールが出た。
ゲーム全体を通してシュバインシュタイガーとオドンコールの「足元」へのパスが多かったドイツ(ボロウスキ&シュナイダーに代わりそれぞれ途中出場)に対して、ペロッタとカモラネージの「裏」へ走らすボールが多かったイタリア。(イアキンタとデルピエロもそれぞれ延長から途中出場)
この差が対応するディフェンダーにどうプレッシャーを与えたかが最終的に勝負の明暗を分けた気がする。紛れもなく「裏」へ走らされたドイツの方がダメージが大きかった。
ーーーーーーーー総括
率直な感想は最後の最後までスコアレスであったのだが、両軍ミスが少ない攻守の切り替えが速い見応えのある素晴らしいゲームであったということ。本当にどちらが勝ってもおかしくはなかった。開催国ドイツのこれまでの戦いぶりも素晴らしかったし、3位決定戦では意地でも勝ちにいくだろう。クリンスマンのアメリカ的マネージメントの手法、監督分担制(アシスタント・コーチ、チームマネジャー、GKコーチによる4人体制を組み、さまざまな決定を合議制)は始めは批判されるも今や絶賛の嵐で新しい風を吹き込んだ。その評価がこの準決勝敗退で再度覆る事はない。開幕戦まで見せた守備の不安を見事修正したのも評価できる。
采配的に見れば延長まで残しておいた3枚目のカードのデルピエロが仕事をしたというリッピに一日の長があったとの見方も出来るのかもしれない。(2枚目イアキンタも延長から)何はともあれあの時間帯で得点を取る勝負強さを持っていたイタリアを称えるべきである。大会前の八百長スキャンダルで嵐の如く吹いていた逆風を見事に跳ね返し、1982年スペイン大会以来24年ぶりの4度目の優勝までアズーリがあと1つに迫った。
ファイナルの相手はポルトガルかフランスか。今宵もまた眠れない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年07月03日
ブラジル対フランス【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.08】


今大会大本命の現王者ブラジルに対して、ジダンの最後の晴れ舞台にチームが奮起して勝ち上がってきた元王者フランスの戦い。このゲームもまた激闘となった。
■ブラジル→【4-4-2・ボックス】
攻撃型アタック・アクションスタイル
□フランス→【4-2-3-1・2ボランチ】
守備型カウンター・リアクションスタイル
ロナウドを1トップ気味に、ロナウジーニョを一応FWにしてジュニーニョとジウベルトシウバを先発させたブラジルは、チームワークのチグハグさが序盤より目立った。対するフランスはジズーが質の高いパフォーマンスを見せ、ドイスボランチのマケレレ、ビエイラもルーズボールを拾いフランス優勢に試合は進んだ。
後半その情勢は変わらずフランスがジダンのFKをアンリがゴールに突き刺し先制、その後アドリアーノ、シシーニョ、ロビーニョを投入したブラジルの怒濤の攻撃を「結束力」で跳ね返し、結局そのままフランスが逃げ切り、王者ブラジルを下した。
ーーーーーーーーチームとしての完成度の差
何と言ってもここへ来てのフランスの「結束力」は素晴らしい。フットボール自体はまず守備的なのだが、ジズーが逆取ってターンしてから相手に読まれてないところへパスすることで「時間」と「スペース」を絶妙に作り出し、アンリもそれに応えて決勝点をマークした。ドイスボランチのマケレレ、ビエイラのルーズボール制圧率がメチャメチャ高い。それにより厚みのある攻撃がブラジルは全くと言って良いほどできなかった。世界最高の選手ロナウジーニョでさえもこの試合の主導権をフランスから奪うのは難しかった。尻上がりにチームとしてまとまってきている。
ーーーーーーーー不可解なスタートメンバー
怪我やコンディション不足などの理由はあるのだろうが、アドリアーノをベンチに座らしてまでパヘイラ監督のロナウジーニョをFWに起用したメリットが見いだせなかった。現に後半アドリアーノとロビーニョを投入してロナウジーニョが中盤に下がってボールを受けだしてからはやや攻撃の形になってきたのだが時はすでに遅かった。この試合だけは個人で打開できなかった。なぜ一度も試したことのないあのメンバーで臨んだのだろうか。
ーーーーーーーー総括
今大会一度も複数での素晴らしいパスワークを見せないまま、ブラジル国民の涙と共にカナリア軍団は姿を消した。パヘイラ監督がどんなにコンディションが悪くてもロナウドを交代させなかった事により「前線の動きによるスペース」が出来なかった事と、エース・ロナウジーニョもシーズンの疲労を引きずったままプレーし続けた事が、チーム力がアップしなかった要因ではないか。(カカーも重かった)ここまでは個人の力で打開できてきたのだが、「集中力」と「結束力」を持った経験豊富なフランスの扉をこじ開けることは最後までできなかった。
アルゼンチンとブラジルまで負けてしまってはテンションが急降下するのをストップする術をラティーノの私は持ち合わせてはいない。
本当に落胆している。
しかしながらジズーの美しいラストダンスをまだ堪能できる事は幸せな事である。ジズーは最後の輝きを放っている。「フットボールはこうするんだよ」彼のプレーはこう語っているようだ。
フランス復権の可能性もやや高くなってきたが、今回のワールドカップは本当に最後までわからない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ドイツ対アルゼンチン【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.07】


圧倒的歓声を受けて上昇気流に乗る開催国ドイツの準々決勝の相手は今大会ナンバーワンのクオリティの呼び声が高いの南米の雄、アルゼンチン。この対決は大方の予想通り激闘となった。
■ドイツ→【4-4-2・2ボランチボックス】
攻撃型ポセッション・アクションスタイル
□アルゼンチン→【4-4-2・2ボランチボックス】
攻撃型ポセッション・アクションスタイル
攻撃に特徴のある両チームの前半は失点をお互いしたくないという表れで序盤よりプレス対決になった。両チームのボランチ、アルゼンチン・マスチェラーノ、ドイツ・フリングスを中心に激しい削り合いの展開。その中でもリケルメの足の裏でのドリからやテベスの好調ぶりは光った。コンディションの良いドイツの2トップもアジャラとエインセのセンターバックに抑えられ、キーマン・シュバインシュタイガーもこの日先発の右サイドバック・コロッチーニの前に見せ場はなかった。
ーーーーーーーーポイントはアボンダンシエリの負傷退場
後半開始早々4分コーナーキックからアジャラのヘッドが決まりアルゼンチンが先制、殆どがホームドイツのサポーターで埋め尽くされたスタジアムは沈黙する。後半26分のクローゼとハイボールの際交錯したアボンダンシエリの負傷退場で一枚のカードを使わなければならなかった事が後々アルゼンチンにとっては不運にもダメージとなってしまった。レオ・フランコを入れた後、司令塔リケルメを下げてカンビアッソを投入して完全に守備的にシフトチェンジ。
【4-4-2・2ボランチ】→【4-3-1-2・3ボランチ気味】
ジョーカーを持ちながら、残り20分で「1点差を守りきる」堅い選択をしたペケルマン。最後に切ったカードはクレスポに代えて長身FWのフリオ・クルスだった。
追いつかなければならないクリンスマンはオドンコールを後半17分、ボロウスキを29分に投入する。その采配が功を奏し、バラックのクロスをボロウスキがヘッドで流しそれに飛び込んだクローゼの同点弾を呼び込む。チャンスを確実に決めるクローゼは大会得点王に最も近いと言えるだろう。追いつかれたアルゼンチンに得点を挙げる術はほとんどなく、ドイツにも逆転するだけの力はなかった。そのまま延長PK戦の末、レーマンの活躍によりドイツがベスト4へのチケットを掴んだ。
ーーーーーーーー総括
あの時間帯でリケルメを代えてまで完全守備的になるべきだったのかという疑問と(勝つためには理解できる采配ではあったが)、アボンダンシエリの不運のせいでジョーカー・メッシを観れないまま大会を去ったアルゼンチンの負けぶりには落胆した。ドイツが勝った事はそれはそれでいいのだが、今大会最も美しかったチームの敗退は「スペクタクル」な流れのフットボールシーンではやはり残念と感じるファンも多いのではないだろうか。さらに死力を尽くした激闘後に小競り合いが発生するという後味の悪いゲームになってしまったのも残念だった。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年06月29日
いよいよ準々決勝。セクシーフットブロガー的見解。


これまで開幕からノンストップでやってきた世界最大の祭典も恵みの2日間の休みを経ていよいよ佳境を迎える。選手以上に我々フットボールファンもハード&タイトなスケジュールであった。予選グループリーグは毎日大体3ゲーム、3ゲーム目にもなると睡魔の大群が一気に押し寄せてきて脳のCPUの動きを鈍らし、両チームの戦い方を分析しながら観れる状態でない事が多かった。録画を「見直して」チェックすればいいのだが、時間がないせいか最近はライブでないとモチベーションが持続できない。同時にその瞬間のワンプレーワンプレーから様々な要素を「閃く」事を重要視するようになった。むしろ持っている知識から「じっくり考える」事も大事だがその瞬間のプレーや采配からバイブレーションを感じ「閃きたい」と思うようになったという事は、基本的に現場主義者だからかもしれない。(最初は全てのゲームリポートを届けようと思っていたのだが・・・。)
今回は少し長めに書き綴る。
ーーーーーーサプライズ・番狂わせがほとんどない大会
【ドイツ×アルゼンチン】
【イタリア×ウクライナ】
【イングランド×ポルトガル】
【ブラジル×フランス】
こうやって見てみるとウクライナとポルトガル以外の6ヶ国は全てワールドカップ優勝経験国という番狂わせがほとんどない大会になった。(全7ヶ国・+ウルグアイ)ウクライナの躍進がプチサプライズと言えるくらいだろうか。
予選リーグでも
【スウェーデン 0-0 トリニダード・トバゴ】
【ガーナ 2-0 チェコ】
これくらいしか大方の予想を覆したのはないかもしれない。
「少々の事では勝つ事はできない」
と言わんばかりの強豪国と言われるチームのプライド、歴史の深さ、底力が目立つ。
その強豪国同士が激突するこれからの戦いはまたアツい。
ーーーーーー準々決勝の展望
【ドイツ×アルゼンチン】
開催国ドイツは開幕戦のライン守備の不安定さをマイナス要素として指摘したが、2戦目以降不用意なオフサイドトラップを止めて修正してきた。復帰したバラックもうまくバランスをとって守備的不安をポセッション率を上げることにより安定をもたらした。さらにFW陣、クローゼ・ポドルスキが仕事をして攻守に歯車ががっちりかみ合ってきた。何より一番ボールを繋ぐ事が丁寧ないいチームである。
対するアルゼンチンは勝ち方を知っているチーム。セルビア・モンテネグロ戦のような複数のパスワークを軸に素晴らしいポセッションフットボールを披露したかと思えば、オランダ戦、メキシコ戦のような個人技を全面に押し出したリアクションカウンタースタイルも出来る。相手に応じて戦い方を変えれる事、絶対的なジョーカー(テベス・メッシ)を2枚も持っているというのはやはり強みである。
開催国の勢いか、経験豊富な南米の雄か。個人的にはアルゼンチンが勝ってほしいが大会的にはドイツが勝つ方が盛り上がりは最高潮に達するだろう。
【イタリア×ウクライナ】
10人になりながらもしっかりオーストラリアに終了間際の疑惑のPKで勝ち上がったイタリア。ヒディンクに魔法の杖を振らせなかったのは流石の一言である。大会前のスキャンダルのプレッシャーにも負けずチームにまとまりを感じる。軸は攻撃のエースのトッティ、デルピエロ、トーニよりも間違いなくピルロ。彼の配球が安定と落ち着きをもたらしている。
イタリアとの対戦はシェフチェンコにとっては運命めいた物なのではないか。初戦にスペインに0-4で大敗を喫してからここまでしぶとく勝ち上がってきた。誰も予想もしなかったベスト8進出は失う物がない。まだシェバが爆発してないことを考えるときっちり無失点で抑えればまたも最後までもつれる可能性もある。
ブッフォン、カンナバーロを中心に往年のカテナチオは健在。イタリアを熟知するシェバの個が扉をこじ開ける可能性もあるが順当にいけばイタリアの準決勝進出はカタい。
【イングランド×ポルトガル】
2004年欧州選手権の準々決勝と同じ顔合わせである。優勝候補のイングランドはただでさえ薄いFW陣にオーウェンの離脱。ルーニーも怪我明けで完全ではないし不安要素は拭い去れない。ベッカムのFKという武器でここまで勝ち上がったが守備陣も時折イージーミスも目立ち、自慢のダブルセントラルMF、ランパードとジェラードの出来も今ひとつでチーム全体はいい状態とは言えない。
対するポルトガルはフェリポンが来てから確実に強くなっている。中盤から後ろは「強い」「速い」「高い」実用的な選手を揃え失点しにくいチームになっているし、ベスト16のオランダ戦もコスチーニャを失ってからの「戦争」を制した、精神的な強さが際立った。しかしながら強くなったと同時に美しさも消えてしまった。そしてセンスを加えられるデコが出場停止、芸術的なドリブルを持っているクリスチアーノ・ロナウドも万全のコンディションではない。頼みのフィーゴの経験にかかっている。
両チームいい状態とは言えない。そんな中大方の予想に反して、両監督の勝負強さの差、美しさと引き替えに強さ、逞しさを身につけ勝ち風を吹かせているフェリポンのポルトガルが激戦を制し40年ぶりのベスト4に駒を進めるのではないか。
【ブラジル×フランス】
ここへ来てシフトアップしてきた王者ブラジル。周りの雑音をゴールでかき消し、新記録を樹立したロナウド。ロナウジーニョ、カカー、アドリアーノも本調子とは言えない状態の中でもアフリカの新勢力ガーナ浅いラインをスルーパスのみで軽く一蹴。これでロナウジーニョ、カカー、アドリアーノがパフォーマンスを上げてきたら間違いなく優勝へ一番近いチームであろう。フットボール的にはまだ複数での鮮やかなコンビネーションは見せてくれない。個人的にはロビーニョのキレキレドリブルが観たい。
フランスはグループリーグこそスロースタートであり2位通過であったが好調無敵艦隊スペインを要所を押さえる試合巧者ぶりを発揮して3-1で逆転勝ちを収めてきた。ジズーのラストダンスがまだ観れるのは嬉しい事である。現王者相手に元王者がどう戦うか。マケレレ、ビエイラのボランチがやはりポイントになるだろう。玉際の強さは際立っている。ルーズボールに滅法強い。ボールを奪ってからのつなぎは平凡なのであるが、そこはジズーが敵の逆を取り「時間」と「スペース」を要所に生み出している。特筆すべきはサイドアタッカー、リベリ。彼のドリブルは取られたと思ったところをすり抜けてくる。あと忘れてならないアンリの存在。一発をぶち込む可能性はいつでも持っている。ベンチのトレゼゲも勝負強さを持っている。
まぁ順当に行けばブラジルだろうが、フランスにはオーバー30の経験としたたかさがある。今のチーム状態は悪い試合でも要所を締めてしまういい状態にある。歴史を遡れば20年前のメキシコ大会の準々決勝は1-1のPKからフランスが勝っているし、記憶に新しい1998年のフランス大会決勝でもフランスが3-0の完勝を収めている。歴史は繰り返すのか。しかし今のカナリア軍団に死角は見あたらない。
ーーーーーーセクシーフットボール的な観点から
ボールをポゼッションする(大事にする)ことは当たり前
長短のパスの中からサイドで起点を作り
そこからテクニックとスピードで個人もしくは複数で突破する
相手の逆を取りながら相手が思ってないプレーを思ってない時にする
そして得点を取る
この何度もブログ(→こちら)に書いてきた「セクシーフットボール」の定義の
●チームでのボールの動かし方
●相手の逆の取り方
●局面での個人技・センス(膝の曲がり具合、タッチの柔らかさ等)
という観点で
・ブラジル
・アルゼンチン
・メキシコ
・スペイン
・コスタリカ
・エクアドル
にはセクシーフットブロガーとして特に注目したい。
と大会前に書いたが
「セクシーフットボール」に最も近かったのはセルビア・モンテネグロ戦のアルゼンチン。
2点目のカンビアッソのゴールは現段階で今大会ナンバーワンだろう。
25本のパスを成功させて決めた。ワンツー、ダイレクト、ヒールなどあらゆる要素が加わって生まれた素晴らしいゴールだった。あの瞬間には今年冬の野洲高校のフットボールを思い出した方も多かったのではないか。【エピソードコラムは→こちら ※一番下から読んでください。】
ベスト16でアルゼンチンと当たってしまい敗退してしまったのは残念であったが、メキシコも素晴らしいチームであった。
相手の逆を取りながら相手が思ってないプレーを思ってない時にする
これが個人のベースになっている。
今大会現段階で個人的に一番好きだったのは7番シーニャ。
彼のプレーには上の表現が凝縮されている。そして日本の少年たちが
「相手が取りに来ても慌てない」
これをテーマにまずお手本にしてほしいプレーヤーの一人である。(ジダンも同タイプの選手であるがあえて日本人の体型に程近いシーニャ【163センチ66キロ】を挙げたい)
●チームでのボールの動かし方
展開力という点ではスペインが良かった。
【ピックアッププレーヤー】
セスク、チャビアロンソ、チャビ(スペイン)
●相手の逆の取り方
●局面での個人技・センス(膝の曲がり具合、タッチの柔らかさ等)
【ピックアッププレーヤー】
メッシ(アルゼンチン)
ジダン、リベリ(フランス)
ロナウジーニョ、ロビーニョ、ゼ・ロベルト、リカルジーニョ(ブラジル)
デコ、フィーゴ、クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル)
ヴィルヘルムション、イブラヒモビッチ(スウェーデン)
シュバインシュタイガー、ポドルスキ(ドイツ)
ガーナ、コートジボアール、トーゴ
このアフリカ3チームもこの点で随所に身体能力を生かした中で個人技が光る魅力的なプレーを見せてくれた。
【ピックアッププレーヤー】
アッピアー、ムンタリ(ガーナ)
カルー、ゾコラ、ヤヤ・トゥーレ(コートジボアール)
アデバヨール、カベル(トーゴ)
あとセクシーフットボールからは離れるがスイスの統率された守備は素晴らしかった。無失点で大会を去らなければならないのはなんとも残念なのだがチーム力は本当に高い水準にあったと思う。2008年欧州選手権自国開催(オーストリアと共催)での活躍を期待したい。
ーーーーーーオシムジャパン誕生か?
ジーコの後任にはイビチャ・オシム氏の就任が濃厚になった。メジャー指向でないとある程度日本国民が納得しない点から考えるとベンゲル氏かオシム氏が妥当なラインだと思っていた。アーセナル残留が決定的なベンゲル氏は実現性が低い事から考えてジェフ千葉の現監督であるオシム氏は適任であろう。
「相手よりも走る」
良いサッカーするにしても何をするにしても基本的にこれをしなければ話にならない。ドイツではポセッションできず、暑さもマイナス要素となり最後まで走れなかったためにグループリーグ敗退となった。
今大会190センチ台の選手が当たり前となりますます体格差というのが世界基準になってきている中で日本はいかに勝負するのか。(オーストラリアもアジアに転籍してくる)
オシムジャパンが誕生するのは時間の問題である。(正式に決定してからまた書く)
何はともあれ準々決勝の激闘は楽しみである。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年06月24日
ブラジル対日本【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.06】


「奇跡は起きなかった。」
積極的な立ち上がりを見せたサムライ達は前半34分の玉田のゴールで日本列島に希望の光を灯したはずだった。しかし前半ロスタイムに絶不調ロナウドを目覚めさせる痛恨の失点、後半も王者の牙城を揺るがすことなく失点を重ね、終わってみれば1-4の惨敗。0勝1分2敗の4位で1次リーグ敗退が決定、日本国民の溜息と共に4年間のジーコ体制は幕を閉じた。
見たままの結果であり独自の見解などはありはしない。この敗戦は落胆の他の何ものでもない。
ーーーーーーーーまたもポイントとなる瞬間を
玉田、巻を2トップにボランチに稲本を起用し序盤は積極的な立ち上がりを見せ、玉田の先制弾の瞬間は奇跡が現実になるかと多少期待した。しかしジャブのように打ち込まれるブラジルの攻撃に耐えきれなかった。前半ロスタイムの失点がなければ後半にまだ可能性を広げれたのかもしれない。
今回のオーストラリア戦の残り6分の失点といい、クロアチア戦の決定機、そして今回の失点といいことごとくポイントとなる瞬間をものにできなかったのは本当に痛かった。
ーーーーーーーーベースが根本的に違う
落ち着き方、ボールの持ち方、判断のスピード、プレーのスピード、そして決定力。
結局何もかもがブラジルの方が一枚も二枚も三枚も上だった。世界基準からすればこれが現実と受け止めて前を向くしかないのだが、残念なのは本当に持っている力を全て出したのかとどうかと言う事。大舞台に力を出せない事が実力と言ってしまえばそれまでなのだが、本当にやりきったのか疑問である。(この3試合の中で投入した選手をまた交代させなければならない事が2試合もあった。本当にもったいない。)
ブラジルの選手がどうやって育ってくるのかは今回は私の論点から外れるのでやめておく。
ーーーーーーーー総括
「2点差で勝つ」というミッションインポッシブル(不可能な任務)はやはりミッションインポッシブルであった。
ジッコも言うように全てはオーストラリア戦に1-0で勝っておけば単純にグループリーグ突破できているわけである。(その後の展開も変わっただろうが)あの悪夢の逆転負けが今回の日本代表の戦いぶりの象徴だろう。フットボールはやはり甘くない。
しかしながらこの結果だけを見てこの4年間は空白だったと決めつけてはいけないと思う。着実に努力をして進歩はしていると思う。
なぜ勝てなかったのか。日本以外の国も日本以上に進歩していたからである。Jリーグが生まれ13年、ようやく海の広さを体感できたと言ったところか。
サムライブルーの挑戦は終わった。だが眠れない世界最大の祭典はまだ続く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年06月19日
日本対クロアチア【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.05】


「勝てる試合を落とした。」
試合後の中田英寿の言葉通り日本はどうしても勝たなくてはいけないゲームに痛恨のスコアレスドロー。お互い勝たなければならないクロアチアとの戦いは先日同様暑さにも苦しめられ、ディフェンス陣は奮闘するも得点が最後まで奪えなかった。チャンスはあったものの決定機を何度も逸してしまった。
ーーーーーーーー川口のプレーを無駄にしてはいけなかった
「善戦したけどダメだった」
これではもうサポーターは納得しない。今日の試合では戦ってなかった選手がいた。プレッシャーに負けて仕事ができない選手がいた。前半に宮本がファウルを取られ不運にも招いた絶体絶命のPKのピンチ。これをスーパーセーブで助けてくれた川口。彼の魂のこもったプレーに前の選手達は応えなければならなかった。さらにどんなに批判されようが我慢して使い続けてくれたジーコ監督の期待も無駄にしてはいけなかった。
ドイツで戦う日本代表にはサポーターは何を期待しているのか。もちろんひとつでも多く勝って上位進出することなのだが、一番観たいのはこれなのではないか。
「日本を背負って世界相手に戦うという熱い気持ちがこもったプレー」
川口を始めディフェンス陣のプレーには伝わってきたが前の選手達が見せてくれなくてはゲームをモノにすることはできない。
ーーーーーーーーボールを動かせない現実
「日本のストロングポイントは中盤」
海外でプレーする選手が多く一般的にこう解釈されているはずだ。それにもかかわらずオーストラリア、クロアチアの2試合とも中盤を支配できなかった。ここでポセッションで勝てない現実が苦戦を招いている。
自分たちのミスから相手にボールを奪われ、ロングボールを蹴られ、高さで勝負され何とかしのぐもコーナーキック、ロングスローでまた高さで攻められる。
この繰り返し。結果的に体力の消耗を強いられる。
「攻撃に緩急の変化がなかった」(中田英)
それぞれが「ボールを止めて、周りを見て、パスを出して」では緩急の変化はつけれるはずもない。
「時間」と「スペース」を作り出せる中村も消えてしまい(1度玉田へダイレクトパスを出し輝きを見せたが)良いプレーを引き出すためのまた別の良いプレーもなかった。
パスするためにトラップしてる選手が多すぎる。(してもいいのだが)それはここ近年の協会指導方針の弊害であろう。結局肝心な時に敵を抜けない。
それがボールをポセッション出来ない事にも影響しているし戦術的に勝ちゲームを逃げ切れない事にも負けゲームをひっくり返せない事にも影響している。
【ドリブルなのかパスなのか】
【右なのか左なのか】
【前なのか後ろなのか】
【長いのか短いのか】
「プレーの判断を速くする」
今後の最大の課題であろう。
ボールをポゼッションする(大事にする)ことは当たり前
長短のパスの中からサイドで起点を作り
そこからテクニックとスピードで個人もしくは複数で突破する
相手の逆を取りながら相手が思ってないプレーを思ってない時にする
そして得点を取る
「セクシーフットボール」の定義から見てもセルビア・モンテネグロ戦のアルゼンチンは素晴らしかった。1メートルのリターンパスをつなぐチームは開幕以降アルゼンチンしかなかった。スペイン、メキシコも良かったが現時点でアルゼンチンがチームとして一番質が高い。
■参考記事
ジャパンスタイルへの提言→
【日本のサッカーに足りない必要なヒント。それは相手の逆を取りながら相手が思ってないプレーを思ってない時にする事】
ーーーーーーーー総括
勝点1を得てまだ最終戦に決勝トーナメント進出の可能性は持ち越したとは言え非常に厳しい状況は変わりない。今となってはオーストラリア戦の3点目が重く日本列島にのしかかっている。
直後のゲームはブラジルが2-0でオーストラリアに勝って決勝トーナメント進出を決めた。
【1位】ブラジル 2勝0敗0分 勝点:6 得:3 失:0 得失差:+3
【2位】オーストラリア 1勝1敗0分 勝点:3 得:3 失:3 得失差: 0
【3位】クロアチア 0勝1敗1分 勝点:1 得:0 失:1 得失差:-1
【4位】日本 0勝1敗1分 勝点:1 得:1 失:3 得失差:-2
●日本がブラジルに2点差以上で勝ち、クロアチアがオーストラリアに1点差で勝った場合
●日本がブラジルに3点差以上で勝ち、オーストラリアとクロアチアが引き分けた場合
この2つの条件のみ日本が決勝トーナメント進出できる。しかし状況は非常に厳しいのには変わりない。
この4年の最後になるかもしれない次のブラジル戦。どんなに批判されても信じて我慢して使い続けてくれたジッコを男にするべきではないのか。
可能性がある限りドラマはまだ残っていると信じたい。2点差以上つけてブラジルに勝つしかない。日本を応援する全てのサポーターの思いをのせていつものフレーズを。
6月22日ドルトムントの空に歓喜の君が代と奇跡の青の虹を。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年06月13日
日本対オーストラリア【2006ドイツワールドカップ・ゲームレポートNo.04】


「歴史的敗戦。かつてない屈辱。」
この4年でこんな屈辱的な瞬間があっただろうか。日本中がこんな落胆した瞬間があっただろうか。思い返せば4年前のトルコ戦の敗戦ぶりか。いやしかし得点を挙げることができなくて負ける試合も落胆するが、勝っていたゲームをドラマティックな展開でひっくり返されたゲームの落胆の度合はちょっと一言では言い表せない。天国から奈落の底に突き落とされたような・・・・。
世界の名だたる強豪国ならまだしもまだまだメジャーとは言えないオーストラリア相手に残り6分で3失点。ロングスローから強引な同点ゴールを許し、残り1分で信じられない逆転弾を浴び、ロスタイムにやらなくてもいいダメ押し弾を食らってしまった。
今更当ブログで試合経過を説明する必要はないだろう。
ーーーーーーーー命運を分けたのはルーズボール
「先制点を挙げる」
キーパーチャージを取られてもおかしくない先制ゴール(むしろキーパーチャージ)で先日書いたキーワード通りゲームは進んだ。そんな幸運さも後押ししてこのゲームも日本のモノになるはずだった。
「暑さによる疲労」
気温27度。体感温度は30度以上。このマイナス要素は両軍とも同条件であったからして、体力消耗を軽減するためにボールをポセッションできるかどうかが一つの重要なポイントになった。
そして命運を分けたのは慢性的要因「決定力不足」を挙げるよりも
「ルーズボールを制圧出来なかった事」
「不用意なパスミスを繰り返した事」
これに尽きるのではないか。「そこで不用意なミスをしなかったら、そこで勝負に行かなくても逆に展開すればいいのに」と思うシーンが本当にたくさんあった。ミスをしては勝てない。
それは試合運びの拙さ(まずさ)にも直結してしまった。
「逃げ切りを狙うのか、追加点を狙うのか」
坪井のアクシデントでジッコのプランが乱れたのは紛れもない事実であり、田中誠の直前の離脱ももはやこのシナリオの序章だったとさえ思えてしまう。センターバックが茂庭しかいなく、その茂庭も結果的に交代させてしまった。(アイツを23人にいれておけば良かったんだと声が聞こえてきそうだが)
あのシーンでカードを切るのが小野だったのかは今となっては後の祭りだが、
「ポセッションを上げれて、追加点を演出できる可能性を持つ」
という中での人選だったのではと思う。
スピードのある玉田か大黒を小野と同時に投入すれば前線でのポイントが作れたかもしれない。
小野ではなく稲本を入れて3ボランチ気味にしたらパワープレーに対応しきれたかもしれない。
しかし終わってしまった事であり全ては結果論。
勝負の世界にたらればは存在しない。
ーーーーーーーーヒディンク采配の徹底ぶり
最後まで信じて扉をこじ開けたヒディンク。試合の勝負所に畳み込んだその攻撃は敵ながらあっぱれ、賞賛に値する。日本の試合でなければかなりスリリングな展開にゲームを楽しめたはずなのだが。
サッカールーズには日本にはいない仕事を遂行できる駒がいた。
●同点ゴールと逆転ゴールを決めたセカンドアタッカー・ケイヒル
●194センチの長身FW・ケネディ
●得点力の高いFW・アロイージ
日本がシステム変更をしなかったのと対照にシステムもより攻撃的に代えていった。その徹底ぶりはジッコの比ではない。
【3-5-2】→【3-4-3】→【4-3-3】
本当に残念なのはパワーとフィジカルに屈してしまった事。決定力がなくても中盤を支配してボールをつなぎまくってイライラして自滅する屈強な相手に「試合運び、したたかさ」で1-0で逃げ切り勝点3を得て欲しかった。本当に強いチームは1-0で勝つ。
ーーーーーーーー総括
「初戦を落としたチームの予選突破率は4%」
かなりの現実を突き付けられたこの事実。
この敗戦でジッコが批判されるのも仕方ない事だろう。
サポーターは大いに批判すればいいし、負けた現実から目を背けずにその敗因を分析してそれそれの自分なりの答えを消化する事が日本のフットボールの歴史を作っていくと私は思う。
しかしながらドイツでの戦いは終わった訳ではない。批判もするならば可能性がある限り最後まで応援しなければならないし期待もしなければならない。それこそがサポーターの義務だと思う。
クロアチアに勝たなくては4年間は終わってしまう。クロアチアに勝ち、豪州がブラジルに敗れれば最終戦で突破の可能性はわずかだが出てくる。(クロアチアが最後の意地で豪州に勝つ事も想定しなければならないのだが。)
そんな期待を込めていつものフレーズで締める。
6月18日ニュルンベルクの空に歓喜の君が代と希望の青の虹を。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
2006年06月11日
トリニダード・トバゴ対スウェーデン【2006ドイツW杯ゲームレポートNo.03】


前回同様またもやイングランドと同組に入った北欧の巨人スウェーデン。今回は欧州王者バルサでも輝きを見せた永遠のアイドル、ラーションに大エースに成長したイブラヒモビッチを擁し好成績が期待できるチームとの評判が高い。対するは老将レオ・ベーンハッカー率いる初出場の北中米カリブ代表トリニダード・トバゴ。マンチェスターユナイテッドで活躍したドワイト・ヨークくらいしかメジャーな選手はいないがバーレーンとの大陸間プレーオフを制して32番目に出場を決めてきた。
前半
□トリニダード・トバゴ→【4-5-1】
守備型カウンター・リアクションスタイル
■スウェーデン→【4-1-3-2・1ボランチ】
攻撃型アタック・アクションスタイル
後半
□トリニダード・トバゴ→【4-5-1】から【4-3-2】
守備型カウンター・リアクションスタイル
■スウェーデン→【4-1-3-2・1ボランチ】
攻撃型アタック・アクションスタイル
大方の予想通り序盤からスウェーデンがペースを握り再三のチャンスを作り出すもののトリニダード・トバゴはボランチに入ったヨーク、二人のセンターバック、ローレンスとサンチョを中心に守り、そして奪ったら素早く1トップのスタン・ジョンを走らせる【4-5-1】完全なカウンタースタイルで挑んだ。スウェーデンの2トップを軸として両サイドのリュンベリ、ヴィルヘルムションの積極的な攻撃を両サイドバックのグレイ、A・ジョンも集中力を持続させゴールを割らせない。
後半開始直後にこの日すでにイエローをもらっていた左サイドバックのA・ジョンが2枚目のカードで退場になってからはスウェーデンが得点するのは時間の問題と思われたがGKヒズロップの神懸かり的なスーパーセーブも飛び出して最後までゴールを死守、スコアレスドローに終わった。トリニダード・トバゴは歴史的なドローを演じまるで優勝したような大騒ぎ、対するスウェーデンは勝点3は当然の結果と思っていたゆえ選手、スタッフ、サポーターの落胆ぶりは対照的であった。
ーーーーーーーー統率されたチームワーク、老将の絶妙の采配
スウェーデンが不甲斐ないというよりはトリニダード・トバゴを称えるべきである。経験不足を感じさせない結束されたチームワーク、粘り強い守備、精神力。その中心に常に献身的に動き回るドワイト・ヨークの姿があった。
そして何と言っても目を見張ったレオ・ベーンハッカーの10人になってからの采配。
後半開始直後に左サイドバックのA・ジョンを失ったのだが、彼は落ち着き払い右サイドバックのグレイを左に配置、右サイドバックには右サイドハーフのエドワーズを下げた。さらにFWグレンを投入し【3ボランチ+2トップ】のシステムにした。
【4-5-1】から【4-3-2】
その後運動量の落ちた若手ボランチ、セオボルドに代えて経験豊富でスルーパスも出せるウィットリーを投入。これでカウンターの脅威も与えつつ守備の集中力も持続させ、GKヒズロップのスーパーセーブにも助けられスコアレスドローに持ち込み勝点1を強豪からもぎ取る事に成功した。
「単に守りを固めるのだけではなく相手にとって嫌なカウンターパンチも残す」
このテーマをスウェーデン相手に終始慌てたりする様子もなく、落ち着き払って采配を振るっていたベーンハッカーは時に笑顔も見せていた。前線の駒不足に「どうやって得点するのか」という課題はあるもののこの老将の采配と器の大きさにはビッグサプライズを起こすかも知れないというオーラを感じずにはいられない。
ーーーーーーーー光ったヴィルヘルムションの切れ味、クラッキ・イブラヒモビッチ
「突破力のある両サイドを生かしながら様々な角度から打ち込むクサビをダイレクトで3人目の選手に合わす」
これがスウェーデンの基本攻撃パターン。イブラヒモビッチのダイレクトプレーは一味違う。進行方向や向いている方向と違う方向に柔らかいボールがゴロや浮き球でドンドン出てくる。このゲームに関しては判断が遅れたりイライラして少しパフォーマンスの質は良くはなかった。
●局面での個人技・センス(膝の曲がり具合、タッチの柔らかさ等)
しかしこのポイントで一番光っていた。今大会のクラッキ(ポルトガル語で突出した才能、選手の意)の一人に間違いない。
右サイドのヴィルヘルムションのドリブルも切れ味鋭い。テクニカルというよりはジャックナイフのような間一髪DFの足を越え触っていくタイプのドリブラーであり何度もA・ジョンを置き去りにしていた。ラーションも健在、守備も安定している点でも総合的に良いチームである事には変わりない。(途中で1ボランチに入った左利きのシェルストレームの展開力も良かった)
ーーーーーーーー総括
スウェーデンはゲーム終了後落胆を隠せなかったが、決定機を何度も作っていたしこの結果は問題ではない。次のパラグアイ戦で勝点3が必要になったのは確かであるから鍵を握るイブラヒモビッチがもう少しプレーの質を上げる事(タッチやパスなどの細かい部分)が必要であると思う。
対するトリニダード・トバゴは次はイングランド。恐らく今回同様守備的にならざるを得ないだろうがプラン通りに進んでも精度の高いセットプレーは気をつけなければならない。優勝候補と対戦するベーンハッカーの采配は本当に楽しみである。
ビッグサプライズは起こるのか。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ブログランキング参加中「まぁ言うたらブログ」
1クリックお願いいたします→こちら
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



































